こんにちは!フリーランス管理栄養士のRICOです。今回は、健康維持に欠かせない五大栄養素についてお話ししますね。
前回のPFCバランス、とても勉強になりました。三大栄養素の重要性を学んだら、もっと他の栄養素についても知りたくなりました!
そうですよね。次は 五大栄養素について知ると、さらに食生活のバランスが良くなり、体が正常に機能するための土台作りができますよ。
本記事では、私たちの健康維持に欠かせない五大栄養素それぞれの栄養素が果たす役割や、バランス良く摂取するための工夫について、わかりやすく紹介します。
日々の食事で「ダイエットや健康的なライフスタイルを実践したい!」「お子さんの健康や学力・集中力を高めてあげたい!」など気になる人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
五大栄養素の役割
五大栄養素とは、私たちの身体の健康維持や成長・活動に必要な炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルの5つの栄養素のことです。それぞれが異なる役割を持ち、相互に作用し合いながら、体内の機能を支えています。
この5つの栄養素をバランスよく摂取することで、エネルギーの供給や免疫機能の強化・体の構造の維持など、日々の健康と活力をサポートできます。
炭水化物(Carbohydrate)
炭水化物は、主に糖質と食物繊維に分かれます。糖質はご飯やパンに多く含まれ、私たちの体を動かすエネルギーの主役です。4kcal/gのエネルギーを供給し、総エネルギーの50〜65%を糖質で補うのが理想的です。
前回の記事でも紹介していますが、「全体の摂取エネルギーの半分くらいは炭水化物で摂ろう!」ということを覚えておきましょう。
- 糖質:炭水化物の大部分を占め、私たちが日々の活動を行うために必要なエネルギーを供給します。摂取する際は、ご飯やパンなどの炭水化物を中心に、血糖値の安定に配慮して低GI食品を選ぶといいですね。
- 食物繊維:水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性は便の通過を助け、不溶性は腸内環境を整える役割があります。血糖値の安定化にも期待でき、満腹感を得られえメリットもあります。
炭水化物はエネルギーだけでなく、腸内環境もサポートしてくれるんですね。
腸の調子を整えてくれる食物繊維は野菜やキノコ、海藻に多く含まれています。男性で21g以上、女性で18g以上が目安です。
過剰摂取のリスク|インスリンは太るホルモンでもある
炭水化物の中でも糖質ばかりを摂り過ぎると、体重増加や肥満のリスクが高まります。過剰な糖質はエネルギーとして使われず脂肪に変わり、体内に蓄積されてしまいます。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンですが「太るホルモン」とも呼ばれているんです。
体内の血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げるために糖を筋肉や肝臓・脂肪細胞に送り込みます。この時、余分な糖分は脂肪細胞に蓄えられるため、インスリンの過剰分泌が続くと、体脂肪が増加しやすくなってしまうのです。
また、血糖値が急上昇するとインスリンが多く分泌され、急降下すると血糖値の乱高下(血糖値スパイク)を引き起こし、疲労感や空腹感を招きやすく、さらに食べてしまうという悪循環に陥りやすくなります。お菓子やジュースの摂り過ぎが危険というのが理解できると思います。
糖質制限はダイエットに不向き|不足は学力にも影響
炭水化物お話をすると、必ず出てくるのが「糖質制限」や「糖質不足」についてのご質問ですが、実際どうなのか解説しますね。
前記事のおさらいをすると「PFCバランス」の理想的なエネルギー比は、糖質が50〜65%、脂質が20〜30%、タンパク質が13〜20%ですね。
■糖質制限ダイエットのリスク
例えばダイエットのためにと糖質制限をして、糖質10%・脂質50〜60%・タンパク質30%のPFC比で設定した場合、この高い割合の脂質を摂取続けるのは実際には難しいうえに、最終的にはエネルギーや栄養不足に陥る可能性が高くなります。
また、糖質は3~4g/g の水分を体内に取り込むという特徴があるため、糖質を抑えると一時的に体重が減ったと勘違いしやすいですが、脂肪ではなく水分が減っただけということが起きます。
糖質を適度に摂取しつつ、バランスの良い食事を心がけることが大切で、過度な糖質制限はおすすめしません。
■成長期に影響を及ぼすリスク
糖質はエネルギー源として特に重要で、成長期には運動や学習に必要なエネルギーを十分に摂取することが大切です。
糖質が不足すると低血糖の状態が続いて集中力や記憶力が低下し、学習に支障がでたり骨や筋肉の発育、ホルモンバランスに悪影響がでることもあります。
成長期には、たくさんのエネルギーと栄養素が必要になりますが、糖質より脂肪やタンパク質を多く摂取する食事は、内臓や消化吸収の負担が高まります。
糖質不足や糖質制限ダイエットによる栄養バランスの偏りは、生活習慣病リスクの増加にもつながるため、成長期のお子さんは特にバランスの取れた食事を心がけましょう。
脂質(Fat)
脂質は9kcal/gのエネルギーを供給し、炭水化物の倍以上のカロリーを持つ重要なエネルギー源です。脂質には、主に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、それぞれ役割が異なります。
- 飽和脂肪酸:主に動物性脂肪(肉の脂身、バター、チーズ)やココナッツオイル、パームオイルなどに多く含まれます。常温で固体になりやすく、酸化しにくい特徴があります。揚げ物や焼き物などに利用されることが多いです。
- 不飽和脂肪酸:オリーブオイルや魚油に含まれるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などで、体内で合成できない必須脂肪酸も含まれているので、積極的に摂ることが大切です。常温で液体、酸化しやすい特徴があり、サラダや低温調理に適しています。
飽和脂肪酸を含む油はドロドロしたり固まっている、不飽和脂肪酸はサラサラしている油というイメージです。現代人は知らず知らずに飽和脂肪酸を摂り過ぎているので、注意が必要ですね。
脂質は体内に蓄積しやすいので、日々の調理法を工夫することで摂取量をコントロールしましょう。例えば、揚げ物を蒸し料理に変えたり、ベーコンやウィンナーなど脂肪分が多い食材の量を調整すると良いですね。
両方の脂肪酸は体に必要ですが、飽和脂肪酸は控えめに、不飽和脂肪酸を積極的に取り入れることで、健康的な脂質バランスを保つことができます。
摂り過ぎるときに必要な脂肪酸
脂質の中でも飽和脂肪酸を摂り過ぎると、血中の悪玉コレステロール(LDL)を増加させ、動脈硬化や心疾患や高血圧のリスクを高める可能性があります。
過剰な脂質は脂肪細胞に蓄積され、体重が増加します。特に動物性脂肪(飽和脂肪酸)は、内臓脂肪を増やしやすく、肥満の原因となります。ダイエットでは、低脂肪の食材や調理法を意識し、脂質とくに飽和脂肪酸の摂取量をコントロールしましょう。
成長期のお子さんにとって、揚げ物やファーストフードなどの脂質過多の食事は、肥満や生活習慣病などのリスクが高まる他の栄養素(タンパク質やビタミン・ミネラル)の摂取量が不足し、成長や発育に悪影響を与えることもあります。
同じ脂質でも不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸は血液をサラサラにし、心血管系の健康に良い影響を与えるとされ炎症を抑える効果も期待されます。不飽和脂肪酸は、日々の食事で積極的に摂取することがおすすめです。
どの種類の脂質を摂るかが大事なのですね。
不足するとエネルギーも枯渇する
脂質が不足するとエネルギーが不足し、疲れやすくなることがあります。
■ダイエットの場合
脂質を極端に制限すると、エネルギー不足になりやすく、疲れやすくなります。脂質には、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を助ける働きがあるため、不足すると栄養バランスが崩れ、肌や髪の健康にも影響を及ぼします。
極端な脂質制限ダイエットは、体重は減るものの、体調不良を引き起こしやすいため、適度な量の脂質を摂取することが大切です。
■子どもの成長期
成長期の子どもに脂質が不足すると、エネルギー不足や栄養不足を引き起こし、発育に支障をきたす可能性があります。特に、脂溶性ビタミンの吸収が妨げられることで、骨の発育に必要なビタミンDやカルシウムの吸収が低下し、骨や歯の発達に悪影響が出ることもあります。
脳は約60%が脂肪でできており、脳細胞の膜は脂質で構成されています。DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は脳の健康維持や炎症を抑える働きもあるので、しっかり摂取することで学習や集中力のサポートにも役立ちます。
魚が頭に良いと言われる理由は、そこなのですね。
調理法の工夫や食材選びで、必要な脂質を無理なく取り入れ、健康的な体づくりをサポートしましょう。
タンパク質(Protein)
タンパク質は4kcal/gを供給し、筋肉や肌・髪の毛・酵素・ホルモンなどの材料として、体の構造と機能に大きな役割を果たします。詳しくは前記事も参考にしてくださいね。
- 動物性タンパク質:肉、魚、卵、乳製品などが豊富な供給源です。特に必須アミノ酸をバランスよく含んでいるので、体内で効率よく利用されます。
- 植物性タンパク質:大豆製品やナッツ類などが主な供給源です。植物性タンパク質には、食物繊維やミネラルが含まれていることも多く、健康的な選択肢です。
朝食に卵や納豆を加えたり、昼食や夕食に肉や魚を取り入れると、1日を通してタンパク質が取りやすくなりますよ。
プロテインパウダーもよく見かけますが、必要なのですか
プロテインも便利ですが、基本は食事からしっかりと摂ることが大切です。ジャンクフードを食べながらプロテインを飲んでも、意味はありませんので注意してくださいね。スポーツや部活・成長期のお子さんの場合に、補助的に摂ると活用しましょう。
過剰摂取は消化に負担|不足は免疫力低下にも
タンパク質は満腹感を得やすく、筋肉量の維持にも役立つため、ダイエットなどの健康維持にも、成長期のお子さんにとってもとても重要です。ただし、過剰に摂取すると消化に時間がかかったり、腎臓にも負担がかかるリスクがあります。
また、余分なタンパク質は脂肪に変換されて体内に蓄積されるため、逆に体重増加を引き起こすこともあります。
ダイエットでは、1日に体重1kgあたり約1.2〜1.5gを目安に適量を守ることが推奨されます。
■ダイエット中の注意点
タンパク質が不足すると、筋肉量が減少し、基礎代謝が低下します。その結果、カロリー消費量が減り、体重が減りにくくなるだけでなく、リバウンドのリスクも高まります。また、エネルギー不足から疲れやすく、免疫力が低下しやすくなるため、ダイエット中でも適切な量のタンパク質を摂取することが大切です。
■子どもの発育や学力・集中力への影響
成長期のお子さんにとって、タンパク質不足は脳の発達にも影響を与えます。筋肉や骨の成長が遅れ、身長や体重の発達が遅れる可能性があります。また、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなることも考えられます。
神経伝達物質の生成に必要なアミノ酸が不足すると、集中力や記憶力が低下し、学習に支障がでることもあるので、しっかり摂取することが大切です
ビタミン(Vitamins)
ビタミンは体内で様々な代謝反応をサポートし、健康維持には欠かせません。脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあり、体内での役割が異なります。
- 脂溶性ビタミン:ビタミンA・D・E・Kなど。体内に蓄積しやすく、過剰摂取には注意が必要です。
- 水溶性ビタミン:ビタミンCやB群など。体内に蓄積されにくく、毎日の食事で補うことが大切です。
サプリメントで摂ればいいかなと思ってしまうことがあるのですが、毎日摂るのが難しいビタミンってありますか?
ビタミンCとB群など水溶性のビタミンは不足しやすいですね。サプリメントは補助的なもので、まずは新鮮な野菜や果物を日々の食事に取り入れてみましょう。例えば、オレンジやレモン、ブロッコリー、ピーマンなどが豊富です。
また、食事をすることで咀嚼や嚥下など体の機能機能、免疫力も高めることができますので、ぜひ食事から栄養素は摂れるよう心がけましょう。
ミネラル(Minerals)
最後にミネラルです。骨や歯の健康、血液や神経の正常な機能に関与します。ミネラルは多量ミネラルと微量ミネラルに分けられますが、それぞれに重要な役割があります。
- 多量ミネラル:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなど。骨の形成や筋肉の動きに関与しています。
- 微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅などで、少量でも体に必要な成分です。
カルシウムや鉄分は特に不足しやすいと聞きますが、日々どうやって摂取するのが良いですか?
カルシウムは乳製品や豆類から、鉄は赤身の肉や緑黄色野菜から摂取できます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを生成するために、日光に当たることも大切ですよ。特に女性は鉄分が不足しやすいのと、お子さんの学力や集中力にも影響しますので解説しますね。
貧血は集中力・学力低下にも影響する可能性
貧血は、酸素が体の隅々まで届かない状態です。酸素は呼吸だけで勝手に、全身に回るわけではなく赤血球が運んでくれます。赤血球は鉄分が材料になっているので、鉄が不足すると酸素が全身に運ばれないということにつながります。
鉄分不足は、めまいや、疲れやすい・元気が出ないという不調につながります。酸素が行きわたらない鉄分不足は、集中力低下や学力にも大きく関係しています。
対策としては、エネルギーをしっかり三食摂るということが大前提になります。何をするにもエネルギーが必要になるので、しっかり食べましょう。
加えて、鉄を含む肉や魚卵野菜を毎日摂ります。加えて、ビタミン Cを含む果物野菜を一緒に摂ることで、吸収率が上がります。
食事を摂っても貧血症状がある場合、お腹の調子がよくなく下痢や便秘をしているという方もいます。吸収がしっかりできていない状態なので、発酵食品や食物繊維を毎日摂ったり、刺激物を避ける・暴飲暴食をしないといった工夫が必要になります。
まとめ
五大栄養素は、私たちの身体を支え、日々の活動や健康を維持するために欠かせない存在です。それぞれの栄養素が持つ役割を理解し、バランスよく摂取することで、免疫力の強化やエネルギーの確保、体の成長・維持が可能になります。
過剰摂取や不足は、どちらも健康に悪影響を及ぼすこともあるので、「バランスの取れた食事」で健康を土台作りをすることができます。食事の内容や調理方法に工夫を取り入れ、日々の生活の中で無理なく五大栄養素を取り入れていきましょう。
健康的な食事習慣は、心身の調子を整え、疲れにくい身体作りやダイエットや成長期のお子さんの栄養や集中力がつくサポートにもなります。今日からできることから少しずつ意識してみてくださいね。
参考資料